ルネサンス
単元「ルネサンス」
本時の目標: なぜルネサンスが起こったのか 説明できる
某お笑い芸人が掛け声にもしていることで、ルネサンスという言葉は生徒たちもよく知っているが、どういう意味を持つのかはよく知らない。ここではルネサンスという文化運動がなぜ起こったのかを紐解いていく。
※必ず日付、単元名、本時の目標、教科書の該当ページを黒板に書きます。
「今何やってるの?」「何の話?」「今日は何の勉強をするの?」といった疑問(声には出さないが、授業中にわからなくなる生徒もいるので)を解消するためです。
生徒は一度何やっているかわからなくなると、そこで集中力が切れます。
授業では前年度地理の授業で使用した地図帳を、引き続き使用しています。
世界史は地図帳とセット。
【説明】
〇今日はルネサンス。どういう意味かわかる?
・生徒たちは思い思いの反応をする。
※説明の時に板書もしています。
〇ルネサンスとはズバリ、「再生」という意味だ。
難しく言うと、「個性の尊重を求める文化運動」。
ではポイントをまとめよう。
ポイント
①ルネサンスは、イタリアからはじまった。
②ルネサンスでは、古代の文献がたくさん読まれた。
③ルネサンスで、多くの文化人が現れた。
【説明】
〇では、ルネサンスの起こりについて。
・ヨーロッパの白地図を示し、説明しながら書き込んでいく。
〇14世紀。イタリアの東側にビザンツ帝国という国があった。この国のさらに東にオスマン帝国があった。オスマン帝国がビザンツ帝国に圧力をかけたことで、ビザンツ帝国から多くの知識人がイタリアに逃げてきたんだ。結果、イタリアで知識人が増えた。
そして14世紀というのは絶対の権力を持っていた教会の権威が揺らいでいく時期なんだ。なぜ教会の権威が低下したのかというと、
①十字軍の失敗
聖地エルサレム奪還のために組織された軍隊。
②十字軍参加者が、外の世界を見てきた。
【発問1】
〇ここで宗教が関係してくるんだけど、歴史って英語でどう書く?
History そう。直訳すると「彼の物語」。じゃあ彼とは誰か?
だからこの時代、歴史に関しても教会の言っていることが絶対だった。
じゃあどんなことをいっていたのか?
【作業】
・資料を配る。マンドラゴラの絵を2枚配る。マンドラゴラの説明。
もう1枚写真を配る。地球平面説の絵。
〇昔、地球は平面だと考えられていた。これも教会が唱えていたことだ。
【説明】
〇十字軍の失敗。また、十字軍参加者が外の世界を見てきたことにより、「教会が言っていたことはウソだった!」と気づくんだね。
※十字軍兵士のイラストを板書し、吹き出しに「教会が言っていることと違うぞ!教会は信用できん!」というセリフを入れている
〇ではここからどうなったのか。人々は「これからは教会中心の価値観をやめて、個人を尊重する、人間中心の価値観に変わろう!(人間らしくいこう!)」となったんだ。
※併せてイラストを板書
これをヒューマニズム(人文主義)というよ。でも人々はこうも思った。
「どうやったら人間らしさを取り戻せるんだろう…?」
ということで人々は、「キリスト教が広まる前の文献を読めばいいんだ!」と気づき、古代の文献がたくさん読まれるようになったんだ。ポイントの②にリンクするね。
〇こうして古典研究が盛んになった。こうした古代の「再生」をルネサンスというんだ。イタリアからはじまったので、イタリア=ルネサンスともいう。しかしこれはキリスト教自体を否定しているわけじゃない。キリスト教をどう思うか、捉えるかは人間の自由だろ?ってこと。個人の価値観を大切に。人間らしく。
【説明】
〇ルネサンスは商工業、金融業で栄えていたので、お金持ちが多かった。
イタリア・フィレンツェの大富豪、メディチ家や、教皇レオ10世はルネサンス運動を保護しようとしたんだ。これには流行りのルネサンスを保護することで、自分たちの権威を保護・向上させようという狙いがあったんだ。
こうして、国王・貴族・大商人らは自らの権威を守るためにこぞってルネサンスを援助した。しかし、教会に保護された運動家は、教会の批判はできないので、イタリア=ルネサンスは「個人の能力が発揮された」運動だったんだ。
※メディチ家、教皇レオ10世のイラストを板書しています。ガオ。
【説明】
〇ルネサンスの先駆者について。まずはダンテ。彼は『神曲』を書いた。これはダンテ自身が主人公で、地獄、煉獄、天国を旅する話。ポイントは彼はこの物語をトスカナ語で書いたんだ。今まで多くの書物は教会の指定するラテン語で書かれていたんだけど、彼は多くの人が読めるようにトスカナ語で書いたんだ。受験では大切なポイントです。
また、ボッカチオは『デカメロン』を書いた。デカはデシリットルのデと同じ意味で、10という意味。10日物語とも訳されるよ。
【説明】
〇そんな時、イタリア戦争が起こり、イタリア各地が荒廃したため、16世紀になるとイタリア=ルネサンスは衰退していく。そして、ある人物が現れた。
それがエラスムス。彼は「俺は教会の保護を受けていないから、教会を批判できる!」と『愚神礼賛』を書いた。
こうしてルネサンスは北方、西に広がっていった。北方ルネサンスでは、腐敗した教会への批判も行われたんだ。
また、多くの文学作品がラテン語で表されたので、イタリア語・ドイツ語・フランス語・英語の基礎が出来上がった。
【説明】
〇ここで授業プリントに注目。三大発明って書いてあるけど、三大改良と書き換えて。これらはすでに中国で発明されたものだからだ。
1つ目が火薬。
【発問2】
〇火薬は何に使用するのか?
A.鉄砲
【発問3】
〇では、鉄砲の普及によってある人たちの需要がなくなるんだけど、どんな人たちだろう?
A.兵士
2つ目。羅針盤の改良。これで遠洋航海が可能になるんだ。
これが大航海時代につながっていくよ。
3つ目。活版印刷。文学作品が広まる要因になるんだ。
※写真を黒板に貼り付けているが、資料集でも確認する。
【説明】
〇天文学という学問も盛んになった。このときは地球の周りを他の球体が動いているとする天動説が主で、キリスト教教会によって支持されていたんだ。
だけども、太陽を中心に、その周りを天体が動いているとする地動説をコペルニクスが唱えた。ただ、教会を敵には回したくないから彼は大々的には主張しなかった。後に地動説はガリレオ=ガリレイによって証明されることになるよ。
【説明】
〇では最後に文化作品だ。ここでもう一度マンドラゴラの絵を見てほしい。
1つはルネサンスの前に描かれたもので、もう1つはルネサンス後に描かれたもの。
ルネサンスの前は教会が言っていたマンドラゴラをそのまま信じて描いているんだけど、ルネサンス後は詳しく細かく描かれている。
今までは教会の言ったことを鵜呑みにしていた。だけどこれからは違う。
「先入観を捨ててリアルを描こう」
これがルネサンス美術の精神だ。
【作業】
〇ルネンサンス美術作品の写真を見て、作品名・作者名を記入。
【まとめ】
〇本時の内容を文章化させる。難しい生徒には感想を書かせる。
説明が多いところでした。もう少しアクティブにできたらという反省を抱きつつも、生徒たちはよく聞いてメモをとっていました。